冬になると気になる服の静電気。
スカートが足にまとわりついたり、脱ぎ着の時にバチッときたり、不快な思いをしたことはありませんか?
実は静電気は、服の素材の組み合わせを工夫するだけで大幅に減らすことができるんです。この記事では、静電気が起きやすい素材と起きにくい素材、そしてすぐに実践できるコーディネートのコツをご紹介します。
服で静電気が起きる理由

服で静電気が起きるのは、異なる素材同士が擦れ合うことが原因です。
すべての物質には、プラスとマイナスの電気が同じ量ずつ存在しています。
通常はバランスが取れた状態ですが、服を着たり脱いだりする時の摩擦で電子が移動し、バランスが崩れてしまいます。
この状態を「帯電」と呼び、プラスとマイナスの電気が揃った時に「バチッ」という放電が起こるんです。
特に冬は空気が乾燥していて、静電気が自然に逃げにくくなります。
湿度が20%以下で気温が25度以下になると、静電気を感じやすくなると言われています。
静電気が起きやすい服の素材はどれ?

素材によって、プラスの電気を帯びやすいものとマイナスの電気を帯びやすいものがあります。
この性質の違いを「帯電列」と呼びます。
プラスとマイナスの性質が離れた素材を組み合わせると、強い静電気が発生しやすくなります。
ここでは、特に静電気を起こしやすい化学繊維について見ていきましょう。
ポリエステル
ポリエステルは国内の繊維生産量の半分以上を占める、ポピュラーな素材です。
扱いやすく速乾性に優れていますが、マイナスの電気を非常に帯びやすい特徴があります。
水分を含みにくいため乾燥しやすく、特に冬場は静電気が起こりやすい素材といえるでしょう。
プラスの電気を帯びやすいウールやナイロンと組み合わせると、強い静電気が発生します。
アクリル
アクリルはセーターやカーディガンによく使われる化学繊維です。
ポリエステルと同じく、マイナスの電気を帯びやすい性質を持っています。
軽くて暖かいのが魅力ですが、帯電列ではマイナス側の端に位置するため、プラス側の素材との組み合わせには注意が必要です。
ナイロン
ナイロンはタイツやストッキング、ダウンジャケットなどに使われる素材です。
帯電列ではプラス側に位置し、プラスの電気を帯びやすい特徴があります。
マイナス側のポリエステルやアクリルと組み合わせると、静電気が起こりやすくなります。
静電気が起きやすい組み合わせをチェック
帯電列で離れた位置にある素材同士を組み合わせると、静電気が発生しやすくなります。
日常のコーディネートでよくある、注意したい組み合わせをご紹介します。
ウール × ポリエステル
ウールのコートにポリエステルのシャツを合わせる組み合わせは、冬のコーディネートでよく見られます。
しかし、プラス側のウールとマイナス側のポリエステルは帯電列で離れているため、脱ぎ着の際に強い静電気が発生しやすいです。
ウール × アクリル
ウールのコートにアクリルのセーターを組み合わせるのも、静電気が起きやすい組み合わせの一つです。
帯電列の両端に位置するため、特に注意が必要といえます。
ナイロン × ウール
ナイロンのダウンジャケットやリュックと、ウールのマフラーの組み合わせも静電気を起こしやすいです。
どちらもプラス側ですが、ナイロンの方がより強くプラスに帯電するため、摩擦で静電気が生じます。
アクリル × ポリエステル
どちらもマイナスの電気を帯びやすい素材ですが、帯電列での位置が少し離れているため、組み合わせによっては静電気が起こることがあります。
ただし、プラスとマイナスの組み合わせよりは静電気が起きにくい傾向があります。
静電気が起きにくい服の素材

天然素材の多くは、吸湿性が高く静電気が起きにくい特徴があります。
帯電列の中央に位置する素材は、プラスにもマイナスにも帯電しにくいため、どんな素材とも組み合わせやすいです。
ウール
ウールは帯電列ではプラス側に位置しますが、同じウール同士なら静電気は起きにくいです。
天然素材で吸湿性もあるため、化学繊維よりも静電気を起こしにくい特徴があります。
ウールのコートにウールのマフラーを合わせるなど、同素材でまとめるのがおすすめです。
綿
綿は帯電列のほぼ中央に位置し、もっとも帯電しにくい素材のひとつです。
吸湿性が非常に高く、ポリエステルやナイロンの約3〜17倍の水分を含むことができます。
水分が電気を逃がしてくれるため、静電気が発生しにくいんです。
麻
麻も綿と同じく帯電列の中央付近に位置し、静電気が起きにくい素材です。
吸湿性と通気性に優れているため、プラスにもマイナスにも帯電しにくい特徴があります。
オールシーズン使える素材として人気があります。
レーヨン
レーヨンは木材パルプから作られる再生繊維で、帯電列では綿の近くに位置します。
吸湿性が高く、プラスにもマイナスにも帯電しにくい性質を持っています。
なめらかな肌触りが魅力の素材です。
キュプラ
キュプラはコットンリンターから作られる再生繊維で、裏地によく使われます。
レーヨンと同じく帯電列の中央付近に位置し、静電気を起こしにくい特徴があります。
吸湿性と放湿性のバランスが良く、静電気対策に優れた素材といえます。
静電気が起きにくい組み合わせをチェック
静電気を防ぐには、帯電列で近い位置にある素材同士を組み合わせることがポイントです。
同じ性質の素材同士なら、摩擦があっても静電気は発生しにくくなります。
具体的な組み合わせ例をご紹介します。
コットン × コットン
綿素材同士の組み合わせは、もっとも静電気が起きにくいコーディネートです。
コットンのシャツにコットンのパンツやスカートを合わせれば、一日中快適に過ごせます。
コットン × リネン
綿と麻は帯電列で近い位置にあり、どちらも帯電しにくい素材です。
春夏のコーディネートだけでなく、秋冬も重ね着に取り入れると静電気対策になります。
コットン × ウール
綿はプラスにもマイナスにも帯電しにくいため、プラス側のウールと組み合わせても静電気が起きにくいです。
ウールのセーターに綿のシャツを合わせると、静電気を軽減できます。
リネン × ウール
麻もウールとの相性が良く、静電気が起きにくい組み合わせです。
リネンシャツにウールのカーディガンを羽織るスタイルなら、秋冬も快適に過ごせます。
外出先で服がまとわりつく時の即効対処法
突然の静電気に困った時、すぐにできる対処法をご紹介します。
外出先でも手軽に実践できる方法ばかりです。
静電気防止スプレーを携帯する
携帯用の静電気防止スプレーは、バッグに入れておくと便利です。
スカートのまとわりつきが気になったら、サッとスプレーするだけで静電気を除去できます。
花粉の付着を防ぐ働きも期待できるので、オールシーズン手放せません。
ハンドクリームやウェットティッシュで潤いを与える
ハンドクリームを手に塗った後、服の内側を軽く撫でると静電気が軽減されます。
ウェットティッシュで服の裾や袖を軽く拭くのも効果的です。
水分が電気を逃がしてくれるため、まとわりつきが解消されます。
壁や地面に触れて体に溜まった電気を逃がす
コンクリートの壁や地面など、電気を通しやすいものに触れると、体に溜まった静電気を放電できます。
金属のドアノブに触る前に、壁を触っておくと「バチッ」を防げます。
普段からできる服の静電気を防ぐための6つの対策
日々のちょっとした工夫で、静電気を起こりにくくすることができます。
洗濯や室内環境を整えることが、静電気対策の基本です。
洗濯で柔軟剤を使い生地を滑らかにする
柔軟剤は繊維の表面をなめらかにし、摩擦を軽減する効果があります。
さらに、静電気を外に逃がす層を作ってくれるため、衣類に静電気が溜まりにくくなります。
ただし使いすぎると素材を傷める可能性があるため、3回に1回程度の頻度がおすすめです。
加湿器で部屋の湿度を50%以上に保つ
湿度が高いと、空気中の水分を通して静電気が自然に放電されます。
冬場は加湿器を使って、室内の湿度を50%以上に保つよう心がけましょう。
乾燥肌の予防にもなり、一石二鳥です。
同じ素材の服ばかりを重ね着しない
同じ性質の素材同士を組み合わせることは静電気対策になりますが、帯電列で離れた素材を避けることも重要です。
ポリエステルとナイロン、ウールとアクリルなど、静電気が起きやすい組み合わせを避けるだけで、快適さが格段に上がります。
静電気を防ぐおすすめコーディネート例
実際のコーディネートに取り入れやすい、静電気対策のテクニックをご紹介します。
おしゃれを楽しみながら、静電気の悩みも解消できます。
ニットには綿やシルクのインナーを合わせる

ウールやアクリルのニットを着る時は、綿やシルクのインナーを着用しましょう。
帯電しにくい素材を肌に近い部分に取り入れることで、静電気を大幅に軽減できます。
綿のタンクトップやシルクのキャミソールがおすすめです。
ポリエステル製スカートには綿のペチコートを履く

ポリエステルのスカートとナイロンタイツの組み合わせは、静電気が起きやすい代表例です。
間に綿のペチコートやレギンスを挟むことで、異なる素材の直接接触を防ぎ、まとわりつきを軽減できます。
まとめ
服の静電気は、素材の組み合わせを工夫するだけで大きく改善できます。
静電気が起きやすい組み合わせ
- ウール × ポリエステル
- ウール × アクリル
- ナイロン × ポリエステル
静電気が起きにくい組み合わせ
- コットン × コットン
- コットン × ウール
- 同じ素材同士の組み合わせ
柔軟剤の使用、加湿器での湿度管理、綿素材のインナーの活用など、日常的にできる対策を取り入れることで、冬も快適におしゃれを楽しめます。
静電気防止スプレーを携帯しておけば、外出先での突然のまとわりつきにも安心です。
この記事を参考に、パチッとこない快適な冬のコーディネートを楽しんでくださいね。




