モヘアとは?ウールとの違いやデメリット、手入れ法を解説

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モヘアとは?ウールとの違いやデメリット、手入れ法を解説

ふわふわとした手触りと美しい光沢が魅力のモヘア。

冬のニットやカーディガンでよく見かける素材ですが、その正体や特性をご存じでしょうか。

この記事では、モヘアの基本的な知識から、メリット・デメリット、ウールとの違い、さらには購入時のチェックポイントや手入れ方法まで、詳しくご紹介します。

お気に入りのモヘアアイテムを長く愛用するために、ぜひ参考にしてください。

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モヘアの正体はアンゴラヤギから採れる上質な天然繊維

モヘアの正体はアンゴラヤギから採れる上質な天然繊維

モヘアとは、アンゴラヤギという山羊から採取される天然繊維のことです。

トルコ語で「最高の毛」を意味する名前の通り、繊維の中でも特に上質な素材として知られています。

原産地はトルコのアンゴラ地方ですが、現在は南アフリカ、アメリカ、トルコが三大産出国となっています。

中でも南アフリカは世界のモヘアの半分以上を生産する一大産地です。

アンゴラヤギの毛は、年に春と秋の2回刈り取られます。

1年で20〜30cmほど成長し、1頭から年間約4〜5kgの毛が採れるそうです。

特に生後6ヶ月未満の仔山羊から採れる「キッドモヘア」は、繊細で柔らかく、最高級品として珍重されています。

モヘアは、絹のような美しい光沢と、ふわふわとした独特の風合いが特徴です。

保温性と通気性を兼ね備えているため、秋冬だけでなく春夏のアイテムにも使用されています。

ニットやカーディガン、マフラーはもちろん、スーツの生地としても高級素材として人気があります。

お店でお手頃な価格帯(1万円以下)で販売されているモヘアニットはモヘアの雰囲気を別素材で作った「モヘア調のニット」です。

モヘア素材のメリットとデメリット

モヘア素材のメリットとデメリット

メリット:美しい光沢と高い保温性

モヘアの最大の魅力は、シルクのような美しい光沢です。

繊維の表面が非常になめらかで、光を反射しやすいため、上品で華やかな印象を与えます。

無地のニットでも地味になることなく、高級感のある装いが楽しめるのは嬉しいポイントですね。

また、保温性の高さもモヘアの大きなメリットです。

毛足が長く起毛した繊維が多くの空気を含むため、ウールよりも高い保温力を発揮します。

さらに吸湿性も優れており、その吸湿性は綿以上といわれています。

汗をかいてもベタつかず、さらりとした着心地をキープできるため、冬でも快適に過ごせます。

モヘアは繊維の表面がなめらかなため、ウールのようなチクチク感が少ないのも特徴です。

肌が敏感な方でも比較的着やすい素材といえるでしょう。

デメリット:毛が抜けやすくデリケートな点

一方で、モヘアにはいくつか注意すべき点もあります。

最も特徴的なデメリットは、毛が抜けやすいことです。

モヘアの繊維は表面が滑らかすぎるため、ウールのように繊維同士が絡み合いません。

そのため、着用や洗濯の際に毛が抜け落ちやすく、特に新品のうちは他の洗濯物に毛がつくこともあります。

ただし、数回洗濯すれば抜け毛は落ち着いてきます。

静電気が起きやすいのも、毛足の長いモヘアならではのデメリットです。

乾燥した季節には、静電気で毛が抜けやすくなることもあります。

アクリルなどと混紡することで、この問題はある程度解消できます。

モヘアは「刺し毛」と呼ばれる硬い毛が含まれることがあり、これが肌に当たるとチクチク感じる場合があります。

特に安価なモヘアでは、この刺し毛の影響を受けやすい傾向があります。

またウールほどの耐久性はないため、袖口やポケットなど摩擦が多い部分は傷みやすいという点も覚えておきましょう。

ウール・アンゴラ・モヘア調との違いを比較

ウール・アンゴラ・モヘア調との違いを比較

原料・手触り・価格帯の違い

モヘア、ウール、アンゴラは、どれも動物由来の天然繊維ですが、原料となる動物が異なります。

素材原料動物主な特徴
モヘアアンゴラヤギ光沢が強く、滑らか。吸湿性が高い
ウール保温性が高く、弾力性がある。チクチクしやすい
アンゴラアンゴラウサギ非常に柔らかく、軽量。毛が抜けやすい

ウールは繊維の表面がうろこ状になっており、これがチクチク感の原因です。

また、ウールには「クリンプ」と呼ばれる縮れがあり、これが空気を含んで保温力を高めています。

一方、モヘアは直毛で表面が滑らかなため、ウールよりもチクチクしにくく、光沢も優れています

アンゴラは「アンゴラウサギ」の毛で、モヘアの原料である「アンゴラヤギ」とは別の動物です。

混同しやすいので注意が必要ですね。

価格帯では、キッドモヘアやカシミヤが高級素材として知られています。

モヘアは単独で製品化することが難しいため、通常はウールやナイロンなどと混紡されています

市販品ではモヘア10〜50%程度のものが多く、混紡率が高いほど高級品とされる傾向があります。

見た目が似ている「モヘア調」の正体

最近、店頭で「モヘア調」「モヘア風」といった表示を見かけることがありますね。

これらは本物のモヘアではなく、アクリルなどの化学繊維を使って、モヘアのような風合いを再現した製品です。

モヘア調の製品は、本物のモヘアと比べて価格が手頃で、取り扱いも簡単というメリットがあります。

毛が抜けにくく、家庭で洗濯しやすいため、デイリー使いには便利な選択肢です。

ただし、本物のモヘアが持つ独特の光沢や質感、吸湿性などの天然素材ならではの魅力は、化学繊維では完全には再現できません。

予算や用途に応じて、本物のモヘアとモヘア調を使い分けるのが賢い選択といえるでしょう。

品質表示タグを確認すれば、本物のモヘアかモヘア調かを簡単に見分けることができますよ。

一部ブランドでモヘア製品が禁止される理由

一部ブランドでモヘア製品が禁止される理由

2018年、世界のファッション業界に大きな波紋が広がりました。

動物愛護団体PETAが、南アフリカのアンゴラヤギ飼育場での虐待映像を公開したのです。

映像には、作業員がヤギを乱暴に扱い、毛刈りの際に傷つけるなどの様子が映っていました。

これを受けて、H&M、ZARA、GAP、ユニクロなどの大手アパレルブランドが、相次いでモヘアの使用中止を表明しました。

動物福祉と倫理的な消費、いわゆる「エシカル消費」への関心の高まりが背景にあります。

しかし、この動きはモヘア産業に大きな打撃を与えました。

南アフリカを中心に、約3万人の人々がモヘア生産に携わっており、産業の崩壊は地域経済に深刻な影響をもたらす懸念がありました。

そこで2020年、「RMS(Responsible Mohair Standard)」という国際認証制度が設立されました。

これは動物福祉と持続可能な生産方法を保証する基準で、この認証を受けたモヘアは倫理的に生産されたものとして認められます。

RMS認証の導入により、一部のブランドがモヘアの使用を再開し始めています。

現在、モヘアの価格は2019年の下落から回復し、2020年以降は65%近く高騰しているといわれています。

今後も気候変動やエネルギー価格の影響を受けながら、モヘア産業は変化を続けていくでしょう。

モヘアニットやカーディガンの選び方と手入れ方法

モヘアニット

購入時に確認したい品質表示のポイント

モヘア製品を購入する際は、必ず品質表示タグを確認しましょう。

まずチェックすべきは、素材の混紡率です。

「モヘア100%」と表示されていても、実際には縦糸にウールが使われているケースがほとんどです。

一般的にはモヘア10〜50%程度の製品が多く、混紡率が高いほど高級品とされています。

キッドモヘアを使用している製品は、特に上質で肌触りが良いため、表示があれば注目してみてください。

洗濯表示マークも重要なチェックポイントです。

多くのモヘア製品は「ドライクリーニング推奨」または「家庭洗濯不可」となっています。

中には「手洗い可」の製品もありますが、デリケートな素材であることを理解した上で取り扱いましょう。

また、色落ちや色移りの可能性についても、店員さんに確認しておくと安心です。

試着する際は、肌に直接触れる部分のチクチク感をチェックしてください。

刺し毛が多い製品は着心地が悪い場合があるため、インナーを着用する前提で選ぶのがおすすめです。

家庭でできる洗濯方法と保管のコツ

モヘア製品の基本的なケアは、プロのクリーニングに任せるのが最も安全です。

しかし、家庭で洗濯可能な表示があるものは、以下の方法で洗うことができます。

手洗いの手順

  1. 洗濯表示を確認し、水洗い可能かチェック
  2. 中性洗剤をぬるま湯に溶かす(漂白剤や蛍光剤不使用のもの)
  3. モヘア製品を優しく押し洗いする(こすらない)
  4. 十分にすすぎ、タオルで水分を吸い取る
  5. 形を整えて平干しする

洗濯機を使う場合は、必ずネットに入れ、手洗いコースまたはデリケートコースで洗いましょう

脱水は30秒〜1分程度の短時間にとどめてください。

日常のお手入れも大切です。

着用後は、同系色のタオルを使って毛流れに沿って優しく撫で、毛並みを整えましょう。

ブラシは毛が抜けやすいため使用を避けます。

1度着用したら、風通しの良い場所で陰干しして繊維を休ませることが長持ちの秘訣。

保管の際は、通気性の良い不織布カバーをかけ、防虫剤と除湿剤を使用しましょう。

湿気の多い場所や密閉された空間は、カビや虫食いの原因になるため避けてください。

ハンガーにかける場合は、型崩れしないよう太めのハンガーを使用するか、畳んで保管するのがおすすめです。

静電気対策として、天然素材用の静電気防止スプレーを使用するのも効果的です。

まとめ

モヘアは、アンゴラヤギから採れる天然繊維で、美しい光沢と高い保温性が魅力の素材です。

ウールと比べてチクチクしにくく、吸湿性にも優れているため、快適な着心地が楽しめます。

一方で、毛が抜けやすくデリケートな点には注意が必要です。

購入時は品質表示をしっかり確認し、日頃から丁寧なケアを心がけることで、お気に入りのモヘアアイテムを長く愛用できます。

近年は動物福祉への配慮から、一部ブランドで使用が制限された時期もありましたが、RMS認証により倫理的な生産体制が整いつつあります。

天然素材ならではの風合いと温かみを持つモヘア製品で、寒い季節のおしゃれを楽しんでくださいね。

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