ポロシャツやスポーツウェアでよく見かける、ポコポコとした独特の編み目を持つ「鹿の子編み」。
見た目の可愛らしさだけでなく、通気性の良さや快適な着心地から、春夏アイテムの定番素材として人気を集めています。
この記事では、鹿の子編みの基本的な特徴から、メリット・デメリット、お手入れ方法まで詳しく解説します。
鹿の子編みの基本的な特徴

鹿の子の背中の斑点に似た編み目
鹿の子編みは、その名前の通り「鹿の子供の背中にある白い斑点模様」に似た編み目が特徴です。
編み方は、表編みと裏編みを規則的に組み合わせて作られます。
通常は1目ずつ交互に編むことで、まるでチェス盤のような市松模様が生まれるのです。
この編み目によって生地表面に無数の小さな凹凸ができ、独特の質感と機能性が生まれます。
表面の凹凸による立体的な生地構造
鹿の子編みの最大の特徴は、表面に現れる細かな凹凸構造にあります。
編み目が浮き上がることで、生地と肌の間に適度な空間が生まれるのです。
この立体的な構造により、平編みの生地とは異なる独特の風合いが生まれます。
触れてみると、ざらっとした質感とハリのある手触りを感じられるでしょう。
鹿の子編みの4大メリット

①高い通気性と清涼感
凹凸のある編み目構造により、生地内部に空気の通り道ができます。
そのため、汗をかいても湿気がこもりにくく、ムレを防いでくれるのです。
特に暑い季節には、この通気性の良さが快適さを大きく左右します。
ポロシャツが夏の定番アイテムとして愛される理由は、この優れた通気性にあると言えるでしょう。
②肌にまとわりつかない快適な着心地
立体的な編み目のおかげで、生地が肌に直接密着しません。
汗をかいても服が肌にべたっと張り付かず、さらりとした着心地が続きます。
この特性は、スポーツウェアやアクティブシーンでの着用に最適です。
動きやすさと快適さを両立したい方におすすめの素材と言えます。
③型崩れしにくくシワになりにくい
生地に適度な厚みと張りがあるため、型崩れしにくいという利点があります。
平編みの生地と比べて、洗濯後もシワが目立ちにくいのです。
この特性により、アイロンがけの手間を減らせます。
忙しい日常でも、きちんとした印象を保ちやすい実用的な素材です。
④適度な横方向への伸縮性
鹿の子編みは、横方向に程よく伸びる性質を持っています。
体の動きに合わせて生地が伸縮するため、窮屈さを感じません。
ただし伸びすぎないため、着用中に生地がだらしなく伸びることも少ないのです。
フィット感と動きやすさのバランスが取れた、使いやすい素材と言えるでしょう。
鹿の子編みのデメリットと注意点

摩擦による毛玉の発生
表面の凹凸構造がある分、摩擦によって毛玉ができやすいという弱点があります。
特にバッグを肩にかけたり、脇の下など擦れやすい部分に注意が必要です。
綿100%の鹿の子編みは比較的毛玉ができにくいですが、ポリエステル混紡の場合は発生しやすくなります。
日常的なケアとして、毛玉取り器を用意しておくと良いでしょう。
縦方向への伸びやすさと洗濯時の縮み
横方向には伸縮性がありますが、縦方向には伸びやすいという特性があります。
ハンガーにかけっぱなしにすると、重みで裾が伸びてしまうことがあるのです。
また、洗濯時には縮みやすい傾向もあります。
これらの点を考慮して、適切な保管方法と洗濯方法を選ぶことが大切です。
代表的なニット生地との違いを比較
Tシャツの定番「天竺編み」との違い

| 比較項目 | 鹿の子編み | 天竺編み |
|---|---|---|
| 編み方 | 表裏交互の編み目 | 表編みのみ |
| 表面 | 凹凸あり | 平ら |
| 通気性 | 高い | 普通 |
| 肌触り | ざらっとした質感 | なめらか |
| 厚み | やや厚手 | 薄手 |
天竺編みは、Tシャツによく使われる最もベーシックな編み方です。
表面が平らでなめらかな肌触りが特徴で、薄手で軽い着心地が魅力となっています。
一方、鹿の子編みは立体的な編み目により、通気性と清涼感に優れているのです。
より快適な夏の着心地を求めるなら、鹿の子編みがおすすめと言えます。
優れた伸縮性の「フライス編み」との違い

フライス編みは、表編みと裏編みを交互に配置した編み方です。
縦方向にも横方向にもよく伸びるため、体にフィットする下着やインナーに使われます。
鹿の子編みと比べると、フライス編みは伸縮性が高く密着感があるのが特徴です。
鹿の子編みは適度な伸縮性を保ちながら、肌との距離を保つ構造になっています。
つまり、密着を避けて快適性を重視したい場合は鹿の子編みが適していると言えるでしょう。
鹿の子編みを長持ちさせる洗濯・手入れ方法

洗濯ネットの使用と裏返しでの洗濯
鹿の子編みの衣類を洗う際は、必ず洗濯ネットに入れましょう。
裏返してから洗濯ネットに入れることで、表面の摩擦を減らせます。
これにより毛玉の発生を抑え、色褪せも防ぐことができるのです。
また、洗濯機の設定は「弱」や「手洗いコース」を選ぶのがおすすめです。
形を整えてからの平干しまたは太いハンガーでの陰干し
洗濯後は、形を整えてから干すことが重要。
最も理想的なのは、平らな場所に広げて干す「平干し」です。
スペースがない場合は、太めのハンガーを使って肩の形を保ちながら干しましょう。
細いハンガーだと肩部分に跡がついたり、伸びたりする原因になります。
直射日光は色褪せや生地の劣化を招くため、必ず陰干しをしてください。
まとめ
鹿の子編みは、独特の凹凸構造により高い通気性と快適な着心地を実現した素材です。
肌にまとわりつかない清涼感と、型崩れしにくい実用性から、夏の定番素材として広く愛されています。
毛玉ができやすいなどの注意点はありますが、適切なケアをすることで長く愛用できるでしょう。
ポロシャツやスポーツウェアを選ぶ際は、ぜひ鹿の子編みの快適さを体感してみてください。

